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【021. フレームとヴォイド】

─「何もない」が生む空間の力─

フレームを組むと、そこには物理的には何もない空間、つまり「ヴォイド」が生まれます。しかし、このヴォイドはただの空白ではなく、建築空間において重要な意味や体験を生み出す要素となります。

■見えない空間の役割

フレームに囲まれた空間には屋根や壁がなくとも、人は「建物の中にいる」という感覚を持つことができます。風や光が自由に通り抜けるその空間は、建物の一部であると同時に、環境と繋がる「中間領域」を形成しています。

■デザイン要素としてのフレーム

さらにフレームは建築のシルエットやプロポーションを調整する重要なデザイン要素でもあります。例えば安藤忠雄さん設計の「六甲の住宅」では、構造的には必須ではないフレームをあえて伸ばすことで、建物全体のプロポーションを整え、視覚的な統一感を実現しています。

■ヴォイドがもたらす心理的影響

ヴォイドは人々に視覚的な広がりや心理的なゆとりを与え、空間の質を高める効果を持っています。建築設計においては、あえて「空白」を活かすことで、魅力的な空間体験を創出することが可能です。

■まとめ

建築設計においてフレームとヴォイドを意識的に活用することは、視覚的・心理的な効果を高め、空間をより魅力的で意味深いものにすることに繋がります。空間のデザインを考える際には、「何もない空間」の可能性をぜひ検討してみてください。

#空間論 #フレーム #ヴォイド