─"不要"な壁が生み出す、新たな建築体験─
構造的には不要な壁というものがあります。これはただの仕切り?壁の役割とは?
壁と聞くと、空間を区切るための構造物を思い浮かべるかもしれません。
しかし、建築には「主要な構造体ではない壁」が意図的に設計されることがあります。
一見「不要」に思えるこれらの壁が、空間の質を大きく左右するのです。
藤本壮介氏が設計した十和田地域交流センターには、興味深い「不要な壁」が存在します。
建物の前面には広い前庭がありますが、この敷地ラインに沿って巨大な壁が設置され、
あたかも「中庭」のような空間を生み出しています。
この壁の効果は、単なる囲いではありません。
建物が交差点の角にあり、市民に開かれた場所であるため、この中庭を通り抜けることが近道となる動線として機能します。
壁があることで、逆に人々が自然と建物内へと誘導される仕掛けになっているのです。