─あえて流れを止める、動線の“淀み”─
動線を設計する際、意図的に立ち止まる場所を作る意味とは?
水の流れが滞る場所を「淀み」と呼びますが、建築設計においても「人の流れをあえて滞らせる」ことで、新たな体験を生み出すことができます。
行き止まりを作ったり、ルートをクランク(折れ曲がり)させることで、流れを悪くする。
こうした仕掛けが、空間に「立ち止まる機会」をもたらすのです。
いったん人の流れに乗ると、そのまま目的地まで進んでしまうもの。 しかし、どこかで動きを断ち切ることで、周囲の環境に気づく機会が生まれます。
例えば、ショッピングモールでは「広場」や「ベンチ」を設けることで、歩行者の流れを緩やかにし、滞在時間を増やす工夫がなされています。美術館では一定距離ごとに休憩できるスペースが存在しますが、片隅にベンチを置くだけではなく、一度流れを緩やかにしたうえで、空間が休むことを許容してくれるかのような雰囲気の形成も大切なのです。