【 115. 建築家の系譜② 】
-「師弟」から読み解く建築設計スタイル-
渡辺節さん-村野藤吾さんを起点とする建築家の師弟関係の系譜を作ってみました。
■独自性のある造形の系譜
この系譜では、伊東豊雄さんの事務所出身者があまりに多いため、伊藤事務所が中心的な位置づけになっています。例えば、伊藤豊雄さん、SANAA、石上純也さんへと続く「縦軸の流れ」は独創性のある建築のスタイルを間違いなく踏襲していますが、それぞれの独自性もまた顕著です。それぞれで建築作品を見ても面白いのですが建築家の系譜の縦軸で見ると、どこか納得感がある。こういった建築も味方もまた一興ではないでしょうか。
■系譜の魅力と複雑さ
建築界では著名な建築家たちの師弟関係が、長い歴史の中で現在に至るまで脈々と受け継がれています。しかし、一方で系譜を整理していくと、「本当にそうかな?」と思うような微妙な関連性やこじつけにも出会います。実際に、複数の建築家のもとで修行した方も多く、その関係性は単純なものではなく複雑に絡み合っていることが分かります。
■複雑だからこそ面白い
建築家の系譜を辿ることで、自分が好きな建築家が意外な建築家の影響を受けている可能性に気づくかもしれません。特定の建築家の思想や言動を間近で感じながら仕事をしていると、誰もが無意識のうちに影響を受けることでしょう。そんな複雑な影響関係を紐解く面白さを、ぜひ体感してみてください。
■まとめ
今回、BEAVERのコラムの一環で、建築家の系譜を整理する試みは、ただ単に歴史を紐解くだけではなく、様々な建築家が展開したスタイルや建築思想に何らかの共通点や関連性を見つけたいという、いわば好奇心から始まったものです。系譜から完全に建築家のスタイルを読み解くのは難しいかもしれませんが、少なくとも建築界の潮流や影響関係の一端が浮かび上がるでしょう。
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